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朝起きたら両親があたふたしていた。水道の調子が悪いらしいのだ。

試しに水を出してみると、レバーを最大まで上げてもチョロチョロとしか出てこない。台所もトイレも、家中の水道が同じ状況だった。

僕はそれを見て「あ〜遂に水道まで駄目になったか。ウチは古い家だからそこら中にガタが来てるんだよな。廊下の床も抜けそうなところが4箇所もあるし。普通1箇所だろ抜けそうな床って。床が抜けそうって家にとってけっこうなダメージなのになんで4箇所も抜けそうな床があんだよ。いや1箇所もない方がいいだろ抜けそうな床は。そんなことより水道だよ。水が出ないのはヤバい。水が出ないのは命に関わるから。今はチョロチョロ出てるからギリなんとかなるけど本当に止まったらヤバい。水を買いに行かなきゃいけないかも。でもなんか嫌なんだよな水を買うのって。味にお金を払ってるみたいなところあるから。まあそんなことも言ってられないか。今日から天気も悪くなるみたいだし。てか天気予報でたまに晴れ時々雨ところにより曇とか言うことあるけどそれって全部じゃん。結局どうすればいいのよ。そんなことより小芝風花ってかわいいな。」と思った。

僕の家は古いので水道管が駄目になってしまったと思ったのだ。水道局って何時からやってるんだっけと考えていたら矢先、ご近所さんから電話がきて、水道の調子はどうだと聞かれた。どうやら僕の家だけでなく町内すべてで同じことが起きているようだ。恐らく、急激な冷え込みにより水道管が一時的に凍ってしまったのだろう。なら直に元に戻るはずだ。

チョロチョロとしか出ない水で歯磨きや洗顔をしたが、意外とこれくらいの水で足りるんだなって思った。いつもは必要以上に水を出していた訳だ。もう随分前から、限りある資源を大切に使いましょうみたいなことが世界的に言われている。水だって決して無限ではないのだ。今度から常に清潔な水を提供してくれる水道局に感謝し、大切に水を使おうと思った。

仕事から帰ると、水道は無事に復活していた。僕はレバーを思いっきり上げ、必要以上の水でしっかり手洗いうがいをした。限られた資源とは言うけれど、水くらいは好きなときに好きなだけ使いたい。ただ朝の一件もあるので、蛇口から流れる水に一言、ありがとうと言った。