井の中のアイランド

エクスとプレス

てるまえ

友人と銭湯へ行った。

風呂屋とか湯屋とも呼ばれる。どの呼び方も、どこか可愛らしくて良い感じだ。立派な温泉ももちろん良いけれど、銭湯の方がより受け皿が広い感じがする。湯に浸かるのに気合いはいらない。

由利本荘市には銭湯が幾つかあるが、今回は岩城の道の駅にある銭湯に行った。海が見えるので、本当は海が穏やかな季節かつ、明るい時間帯に行くのがオススメだ。

銭湯に行くのは久しぶりだった。コロナ禍になってから人との距離をとやかく言われるようになり、知らぬ間にお出かけの選択肢から外していたようだった。風呂に入っているときくらい、ソーシャルディスタンスとか難しい横文字は忘れたい。でもエチケットは忘れちゃいけない。

暖簾を潜ると香ってくる、銭湯独特の香りで心はもうほっとする。しっかり体を洗ってから、家の浴槽より何倍大きいかも分からない浴槽に入る。足を伸ばしてもまだ足りない。浴槽が大きいって贅沢だ。ちょっと熱いけれど、銭湯は熱いくらいがちょうどいい。

湯に浸かりながら友人と他愛もない話をする。今年もあっという間だったとか、年末はいつから休みだとかそんな感じだ。何も特別な話はしていないが、お湯に揺られながら話しているからか、特別だと錯覚してしまう。友人も今年は良い出会いがなかったらしい。来年はお互い良い出会いの年にしよう。

風呂上がりに瓶のコーヒー牛乳を購入して、ぐいっと喉に流し込む。この瞬間、コーヒー牛乳は世界一のご馳走になる。風呂上がりには寿司よりもステーキよりも、絶対にコーヒー牛乳だ。

海の近くということもあり、12月の夜は風が強く雪も降り、寒い。だけど湯に浸かった後だからか、ぽかぽかして寒さが気にならない。なんだか最強になった気分だ。銭湯に行くと、僕は最強になる。