秩序

野生爆弾のくっきー!を最初に知ったのは「人志松本の○○な話」という番組だった。

自分の好きなものの話をするというシンプルな企画にゲストとして呼ばれていたのだが、彼の一挙手一投足が全てトリッキーで、僕は衝撃を食らった。そしてその衝撃は僕の笑いのツボを大いに刺激した。僕は笑いのプロではないけれど、お笑いの世界、特にトーク番組においてはセオリーみたいなものがあって、セオリーを遵守することで秩序が生まれ、誰もが面白いと思える空気が成り立つ。その時のくっきー!のトークは、あまりにも無秩序だった。

思えば僕も、無秩序な笑いが好きだ。友達同士で会話しているときに、変なタイミングで、あくまでも普通の語り口で、ちょっとした冗談を言いたくなる。もちろんプロの芸人さんのような精度ではないけれど、そこでちょっとでも笑いが生まれるとけっこう嬉しい。だけど、無秩序は万人受けしない。

世の中は無秩序に厳しすぎると思う。世界とかそういうレベルでの話ではなく、日常レベルの話だ。秩序のある世界の方がきっと暮らしやすいのだろう。でも、少しだけ無秩序な方がきっと楽しいと思う。

くっきー!がブレイクしてから久しいが、彼がやっていることは、僕が初めて見たときから変わらない。世間がくっきー!の作り出す無秩序を、それが当然のものとして受け入れ始めたのだろう。無秩序は受け入れられにくいが、一度受け入れられると強い。その人にとって強烈な味方にもなる。

僕は決して友達が多い方ではないが、僕の友達は僕の無秩序を無視せず受け入れてくれる。笑ってくれることもあるし、「は?」みたいな反応をしてくれることもある。それはお笑いで言うところの、ツッコミを入れてくれる状態だ。僕には味方がたくさんいる。

僕が近年好きになった芸人はランジャタイだ。無秩序を具現化したような存在。たまに、本当によく分からないこともあるが、彼らの漫才を見ていると、「楽しそうじゃないか、僕も仲間に入れてくれ。」と思う。