井の中のアイランド

エクスとプレス

小学生の頃、書道を習っていた。

小学校1年生から習い始めた。野球部に入った小学校5年生以降はあまり行ける機会がなかったが、それでも一応、6年生まで習っていた。

姉が習っていたから自分もやってみたくなったという単純な理由だが、親に無理矢理やらされていた訳ではなく、明確に自分からやりたいと言ったのだ。人生において、自分からやりたいことを見つけたのはあれが初めてだったと思う。

さて、書道において大事なのは「とめ・はね・はらい」である。これができればある程度は整った字が書ける。「とめ」はその名の通りしっかりと筆を止めること。角の部分でこれがきちんとできないとナヨナヨした字になってしまう。「はね」は言わずもがな漢字の跳ねる部分。跳ねるときに手首だけを動かすのではなく、腕全体を跳ねる方向に持っていくイメージだといい感じになる。「はらい」には右払いと左払いがあるが、特に難しいのは右払いか。これも腕全体を動かし、徐々に筆先を持ち上げる感覚が重要だ。

このとめ・はね・はらいを習得するためによく言われるのが「永字八法(えいじはっぽう)」。皆さんの心に潜在する中二病の部分をくすぐってしまったかもしれない。永字八法とは書道に必要な技術が「永」の字に全て含まれていることを指した言葉である。書道に慣れないうちはひたすら「永」の字を練習するのもいいかもしれない。

最終的に僕は書道7段まで昇段したが、もう久しく筆なんて握っていないので、今ではもうミミズが這ったような字しか書けないだろう。ミミズの方が上手に字を書けるまであるかもしれない。それでも、人生で始めて自分からやりたいと思ったのが書道なので、僕にとっては大切な思い出なのである。通っていた習字教室は今でもまだあって、先生もまだお元気らしい。久しぶりに顔を出してみようかな。