井の中のアイランド

エクスとプレス

春宵一刻、歩く街

今年の春は例年にないくらい暖かいが、それでも日が落ちると寒すぎず暖かすぎない過ごしやすい気温となる。

今日は日が落ちてから近くのスーパーへ行った。車は使わずに歩いて行った。

桜はあっという間に散ってしまい、早くも葉桜の季節である。桜が散った頃、街に独特の匂いが漂っていると思うのだが、気のせいだろうか。

19時を過ぎた住宅街には、晩御飯の香りとかシャンプー(?)の香りとか、いろいろな香りが心地よく充満している。住宅街を歩いていると、様々な生活があることを感じられるから好きだ。家の数が少ない僕の実家付近とは違った良さがある。日が落ちてから意味もなく夜道を歩いていると不審者扱いされてしまうのが悲しいところだが。でも今日はスーパーに行くという明確な目的がある。見た目以外は不審ではない。

大学生の頃は、時々ゼミの友人と日付が変わる直前まで飲んでいたりして、深夜の住宅街を歩いて自分のアパートまで帰っていた。すっかり灯りの消えた家や、そんな時間なのにはしゃぐ声が聞こえる家など様々だったことを思い出した。そう言えば、その時もいろいろな生活を間近に感じていたような気がする。日付が変わるまでお酒を飲める友人はすっかり減ってしまったが、その感覚だけは今でもちゃんと残っているようだ。

スーパーに着いたらあれこれと品物を吟味する。さすがに日中よりもお客さんは少ない。惣菜やおにぎりが半額で売られていたので、おにぎりを1個購入した。明日の昼食にする。もうちょっと高いお弁当を買ってもよかったが、これが僕の生活なので仕方がない。お酒は買わなかった。職務質問もされなかった。