井の中のアイランド

後の加藤ローサである

本気で忘れるくらいなら

前日は宿直だった。特に何もない静かで平和な夜だったが、冷房で部屋をガンガンに冷やしていたせいか、朝起きたらひどく疲れてしまっていた。冷房をつけなかったらつけなかったで暑いのだ。

という訳で、15時から時間休を取って早上がりすることにした。どうせ有休はたっぷり残っている。有休が取りやすい職場で有難いなって、つくづく思う。

天気予報で午後から雨になることは知っていたが、15時は酷い土砂降りだった。傘は持ってきていない。前日は宿直だった上に、よく晴れていたのだから。

今の僕が出せる限りの全力を出して、車までダッシュで行くしかないと思った。ふうと息をついて、土砂降りの世界へ駆け出す。1歩目で無駄を確信し、小走りに切り替えた。夏の雨に濡れるのは気持ちがいいなーと思うことにした。

雨の中を走った場合に濡れる量は公式で表せるらしい。僕は頭が良くないので公式を見ても全く分理解できない。せいぜい濡れた体のまま『最後の雨』を車中で熱唱するくらいしかできなかった。