僕は悩んでいた。
いざ踏み出そうとすると、足が竦む。立ち向かうのが怖い。いっそ逃げ出してしまおうかと思っていた。
…炭治郎!!!
そうだ、戦わずして逃げるなんて卑怯者のすることだ。戦って勝者になるとは限らない。勝者の陰には必ず敗者がいる。だけど、敗者になれただけでも立派なはずだ。
でも、僕が挑戦したいところで、成功する可能性なんてあるのだろうか。僕の可能性なんて、たかが知れているんじゃないか。
…坂道!!!
そうだ、試してみなきゃ駄目だ。自分で自分の可能性に蓋をするなんて、あまりにも残酷すぎるじゃないか。可能性なんて、やってみて初めて分かるもんじゃないか。
でも、誰も僕に期待していなかったとしたら。根拠のない自信だけ持っていても、仕方ないんじゃないだろうか。
…かとうちゃ(笑)!!!
そうだ、自分で自分を信じてあげないでどうする。何かを成し遂げようとするなら、まずは自分のことを信じてあげないと。根拠のない自信、大歓迎だ。
でも、綺麗事だけ言ってたって、やっぱり仕方ないんじゃないか。結局は成功するかどうかがすべての世の中だから。
…六太!!!
そうだ、成功するかどうかじゃない。本気かどうかだ。本気でやっても必ず成功するとは限らない。でも本気で臨んだ結果の失敗なら、それには大いなる価値がある。
でも、もうすぐ30歳になる僕が、今更本気になるなんて格好悪いんじゃないか。僕の懸命な姿って、世間にはどう映るのだろう。
…真野さん!!!
そうだ、ダサくてもいい。ダサいと言って一生懸命にならないのも、またダサい。どうせダサいなら一生懸命な方がいい。それに、僕が見てきた一生懸命な人たちは、圧倒的にかっこよかった。僕もそんな人たちのようになりたい。
…そういう過程を経て、僕は遂にマッチングアプリを始めることとなった。