井の中のアイランド

エクスとプレス

価値

野球好きにとってプロ野球選手は憧れの存在だ。憧れの人と写真を撮ったり、サインを貰ったりするのは夢のような話である。

先日、サインを求めるファンと選手との間でトラブルが起きたらしい。言うまでもなく、写真撮影やサインを書くなどの対応は選手からのファンへの「サービス」であり、やってもらって当然のことではない。ファン側も選手ファーストの気持ちを持たなければいけない(ほとんどの野球ファンはその気持ちを持っている)。

また、近年では選手に書いて貰ったサインをインターネットオークションやフリマアプリに出品することが横行している。いわゆる「転売ヤー」の存在である。せっかく書いたサインがネットオークションで値段を付けられていたら、選手はどう思うだろうか(ほとんどの野球ファンは貰ったサインは大切に取っておく)。

僕も大学生の頃、野球選手にサインを貰ったことがある。

こちらは当時ベイスターズに所属していた中畑監督と荒波選手のサイン。中畑監督はサインペンを持参していた。荒波選手はスラリとしていてかっこよかった。中畑監督も荒波選手も、「頑張ってください」と声をかけたら優しく応えてくれた。

こちらは現在もカープに在籍している久里選手と大瀬良選手のサイン。久里選手は現在では背番号が11になっているから、同じサインは二度と貰えない。久里選手にも大瀬良選手にもファンが大勢列を作っていたが、ぎりぎりまで対応してくれていた。

4名のサインを持っているが、僕にとっては一生の宝物である。誰にも渡さないし、売るはずがない。

サインの価値とは、サインそのものよりも、貰ったときの思い出に付与されるものではないか。思い出はオークションにかけられない。だから転売屋が手に入れたサインには価値がないとは言わない。でも、僕の思いはそうなのだ。