井の中のアイランド

エクスとプレス

今ありて

選抜高等学校野球大会(以下、センバツ)が開幕した。

雨のため1時間30分遅れて開会式が行われたが、規模を縮小せず開会式ができたのは実に4年ぶりである。やっぱり入場行進や大会歌の合唱があってこそだ。

開幕カードは東北高校×山梨学院。接戦を制し山梨学院が勝利した。緊張でプレーが固くなってもおかしくないはずだが、落ち着いてプレーしている姿には尊敬してしまう。

高校時代、野球部の関西遠征でセンバツを観に行ったことがある。個人的に初めての甲子園球場だったので、人知れず興奮していた。そう言えば、あの日観た試合も東北高校の試合だった。対戦相手は大垣日大東日本大震災があって数週間後の試合で、球場全体がそれとなく東北高校の応援モードだった。

試合開始。東北高校のピッチャーが投じた初球を、大垣日大のバッターが振り抜く。打球は外野フェンスの向こうへ消えていった。先頭打者ホームランだった。まだプレイボールのサイレンが鳴り止まないうちにダイヤモンドを一周する。初めての甲子園球場で、滅多にないシーンを目撃してしまった。そしてその瞬間、球場全体に漂っていた東北高校の応援モードは、一気に五分となった。言うまでもなく、大垣日大も本気だったのだ。試合はそのまま大垣日大が勝利した。試合後は両チームに心からの拍手を送った。そして、僕も拍手をされる側になりたいと思った。

テレビで観る甲子園球場はとんでもなく広く見える。でも、生で観た甲子園球場は想像より狭く見えた。実際にプレーしてみたら甲子園球場は広く感じるのだろうか。それとも狭く感じるのだろうか。答えを知ることは一生ないと思うが、とりあえず高校野球はやっぱりいい。