井の中のアイランド

エクスとプレス

なごみ

仕事中、ふと千歳飴のことで頭がいっぱいになってしまった。

そう、千歳飴。七五三のときに貰うやつ。

もちろん仕事には集中して取り組んでいた。それなのに脳裏に千歳飴が過る。でも僕は千歳飴のことをほとんど何も知らない。

前述の通り、七五三のときに貰ったことは覚えている。あれ、なんで貰えたんだろう。知らぬ間に袋に入った千歳飴を手に持っていた気がする。七五三のときにだけ現れる「千歳飴くばり」という妖怪がいて、七五三を迎えた子どもたちに千歳飴を配っているのだろうか(千歳飴くばりは普段は民家の屋根裏でひっそりと過ごしている)。

千歳飴があんなに長かった理由も分からない。今見ればそうでもないのかもしれないが、当時の僕にとってはかなり長かった。あの長さには何か意味があるのだろうか。食べることを考えたら短く小分けにしてくれた方がいいはずである。二つ繋げれば聖剣になり、勇者として悪い奴らを倒す未来があったのかもしれない。でも、よく考えたら僕は勇者に倒される側だ。

千歳飴ってどんな味だったかも全く思い出せない。紅白2色だったはずだから、赤はイチゴ味で白はミルク味だったのかな。2つ一緒に食べるとイチゴミルク味になるみたいな仕掛けが実は隠されていたのだろうか。子どもが人生で最初に触れる謎解き。千歳飴を作っているのは松丸君なのかもしれない。

千歳飴、考えれば考えるほど不思議な存在だ。1日中考えても詳しいことが全然分からない。一つ分かったことがあるとすれば、僕は別に千歳飴を食べたい訳ではないということだ。