井の中のアイランド

エクスとプレス

昨日、銭湯に行った後の話である。

湯に浸かってポカポカになった僕たちは、そのまま晩ごはんを食べに行った。安くて量も多いため、地元で人気のある中華料理屋である。

店内には先客がおり、同じ会社の従業員同士で飲み会をしているようだった。はっきり言ってしまうが、騒がしかった。

僕もお酒を飲んだ際、気分が良くなることが確かにある。それでも、最低限の節度はわきまえているつもりだ。他のお客さんに迷惑にならないよう大声を出さないようにしたり、店の迷惑にならないようグラスを倒したりしないようにするなどだ。昨日見かけた団体は、それを両方やっていた。最終的には、食器が並んでいるテーブルに一人が倒れこみ(?)、額を切って血を流していた。

よく「お客様は神様だ」なんて言われる。客側がその言葉を武器のように振りかざし、神様なんだから何をしてもいいだろうと言わんばかりに横柄な態度を取る人がいる。神様はなんでもできる存在であって、何をしてもいい存在ではない。たとえ神様であっても、お店の食器を破損させたらちゃんと誰かに怒られるはずだ。

いや、そもそも神様がなんでもできる存在という認識が間違いだ。神社にお参りし、やれ恋愛成就だとかやれ合格祈願だとか人は神頼みしてしまうが、神社へのお参りは、本来は神様に日頃の感謝を伝えるたものものだ。神様は決して超人的な存在ではないのである。

だから、決して「客>店」という図式にはならない。件の団体が帰った後、店員さんが黙ってテーブルを片付けているのを見て、なんだかいたたまれない気持ちになってしまった。店側の役割と言えばそれまでなんだろうけれど。

お腹いっぱいになったので、僕たちもお会計をして帰ることにした。帰り際、ごちそうさまでしたと一言伝えた。美味しい回鍋肉を食べさせてくれてありがとうございます。そういう意味を込めたつもりだ。