井の中のアイランド

エクスとプレス

ウミイグアナ

僕が初めて携帯電話を買ってもらったのは高校入試が終わった直後だった。ショップへ行くと、同じく入試を終えた中学3年生でごった返していた。考えることは皆同じようだ。「この中の何人と同じ高校に行くことになるのかな」なんて思っていた(入試を終えた高揚感もあり、すっかり合格した気でいたのだ)。

その頃はiPhoneだと3が最新機種だったはずなので、スマホを持っている人なんてまだ珍しかった。ガラケー全盛の時代だ。だから今よりもデザインを重視して携帯を選ぶ人が多かったと思う。

「2008年頃 携帯電話 ドコモ」で検索したら出てきた画像である。懐かしすぎて吹き出してしまった。こういう画面が回転する携帯を持っている友人がめちゃくちゃ多かった気がする。

僕はと言うと、ズレた少年だったので皆に人気の機種は選ばず、ドコモSMARTseriesのF-04Aを買ってもらった。

これ。

ドコモSMARTseriesは30代〜40代の働く男性をターゲットにしていたらしい。この時点で大いにズレているのが分かる。カラーはREDにした。それまでの僕だったら絶対にBLACKを選んでいたと思うが、もうすぐ高校生になるし印象を変える意味でもREDを選んだのだ。世界一しょうもない高校デビューである。携帯としては標準的で可もなく不可もなくといった感じだ。でも高校3年間使い続けたので、思い出はたくさん詰まっている。

ガラケーは一部のキャリアでは既に電波供給が停止されており、使用している人はほとんどいない。僕も今ではスマホを使用しているので別に影響はない。便利さで言えばスマホの圧勝である。でも、ガラケーを使用していた頃はまだまだSNSも普及しておらず、通信機器を通じて広がる世界も今よりずっと狭かった。それこそガラパゴス的だ。そんな狭い世界も、けっこう楽しかったと記憶している。