井の中のアイランド

エクスとプレス

仰げば尊し

本日は秋田県内公立高校の卒業式である。と言うことは、僕が高校を卒業してから12年が経ったということだ。

高校を卒業するのは、悲しかった。それはもちろん高校生活が楽しかったからだ。特に高校3年生のクラスは本当に楽しかった。学校に行くのが楽しみすぎて、早く次の朝が来ないかと待ち遠しかった。土日祝日も学校に行きたくて仕方がなかった。そんなクラスだったので、卒業するのが嫌だった。でも卒業式の日は泣かなかった。卒業式の日さえ楽しくて、泣く暇がなかったから。

卒業アルバムは部屋のいつでも手が届く位置に置いている。たくさんの友人、お世話になった先生にメッセージを書いてもらった。文字をなぞるとその人との思い出が蘇ってくるようだ。何人かの友人が「髪にワックスを付けると君はモテるよ」みたいなことを書いていた(僕は猫っ毛で、今も昔も髪がペタッとしている)。その言葉を信じて、大学に進学した当初はワックスを付けて登校していた。全然モテなかったのでほどなくしてワックスを付けるのは止めた。嘘をつくな。

卒業式を終えてからは、グラウンドの横で野球部の後輩たちに胴上げしてもらった。学校で所有していた救命人形と僕の顔が似ているらしく、最後の最後に後輩たちにイジられた。そういうことをしてもらえる先輩でよかったと思う。

ニッコリマークで顔を隠したのが友人。目線だけ隠したのが僕。何も隠してないのが救命人形だ。目線を隠しているにも関わらず、なんとなく似ているのが分かる。あとこの日の僕はワックスを付けている。

第2ボタンは誰からも求められなかった。だから僕のブレザーは今でも綺麗なまま保管されている。それが少し悔しい。欲しい人には今からでも全然第2ボタンをあげられるので、ぜひ。ところで、ブレザーの場合も第2ボタンをあげて間違いないのだろうか。

卒業式の日は、呆れるほどの快晴だった。文字通りの青い春。君たちの青春は一旦ここで終わりだよって、誰かに告げられている気がした。同時に、青春の第2章はここからが始まりな気もした。その予感は、たぶん当たっている。