井の中のアイランド

エクスとプレス

お楽しみ会

高校3年生のこの時期に、記憶をタイムスリップさせてみる。たしか、クラスで「お楽しみ会」を開催したのはこの時期だったはずだ。

高校3年生の2月は、各々が大学の試験を受ける等準備がある関係で、週1回の登校となる。3月1日には卒業式が控えているため、高校生活は1月で終了すると言っても過言ではないのだ。そんな、高校生活の実質的な最後を控えた僕らのクラスでは、最後の思い出作りとしてお楽しみ会を計画し、担任・副担任へ相談。二つ返事でOKを貰い、実行に移すこととなった。

先ほども書いた通り、全国大学入学共通テスト(当時はセンター試験)を終えたこの時期は、次の段階に向けての準備が必要な時期で、本来であればお楽しみ会を開いている場合ではないはずである。しかし、僕が所属していたクラスは就職・進学組が半々といったところで、進学組もほとんどが既に進路を決めていたことから、クラスの総意で思い出作りに舵を切ることとなった。何より、担任と副担任がこういうのに理解のある人だったことが大きい。本当に感謝している。

お楽しみ会の内容としては、バスケット大会、フリースロー選手権、プレゼント交換会など、授業2コマ分を使用したなかなか豪勢な内容となった。

僕はバスケットが苦手(トラベリングとダブルドリブルしかできないレベル)なので、実を言うとバスケット大会だけはあまり乗り気ではなかったのだが、いざやってみると、苦手とか関係なしに楽しかった。それはあのクラスのメンバーだったからだろう。

フリースロー選手権では、たまたま上手くいって2位となり、景品を序盤に選ぶ権利が与えられた。ちなみに景品は担任と副担任がお金を出し合ってクラスの人数分用意してくれたようだった。本当に頭が上がらない。僕が選んだ景品は、「バケツサイズのゼリーが作れるキット」だった。その日の夜にせっせとゼリーを作り、翌日、学校に持っていった。クラスの皆は思いの外盛り上がってくれ、僕はちょっとしたヒーロー気分だった。あの時のクラスは、あまりにも瑞々しかった。

僕の学年は5クラスあったが、あれほど大々的にお楽しみ会を開催したのは僕たちのクラスだけだった。僕のクラスは紛れもなく「特別」だった。

あれから11年が経つ訳だが、お楽しみ会の思い出は色褪せることがない。むしろ、年を重ねるごとに色濃くなっていくので、少々困っている。