井の中のアイランド

エクスとプレス

普通に普通の小銭でした

昼休憩時、コンビニに寄ってチョコレートを買った。今日は宿直なので、夜中に食べるお菓子が欲しかったのだ。

アナログ人間だから現金で購入。お釣りは小銭1枚だった。店員さんから発せられる「お確かめください」の9文字。この店員さんにとって何回目のお確かめくださいなんだろう。

お釣りが小銭1枚のときのお確かめくださいほど、自分を疑いたくなる言葉はない。掌の上に乗せられた小銭。間違いなく正しい金額のお釣りを貰ったのだけど、果たして本当にそれが正しいのかと、オモチャのピストルを向けられている感覚に陥る。自分の常識を全てひっくり返す度胸も必要だ。

まじまじと小銭を見つめる僕。そこにあるのはどう考えても見慣れた小銭であるが、もしかしたら違うのかもしれない。心なしか小銭がゆらゆら揺れているようにも見える。僕の掌の上にあるのは小銭ではなくて蜃気楼なんじゃないか。この店員さんは蜃気楼を掴んで渡したのだろうか。

お釣りはレジ横の募金箱に入れた。あれが本当に小銭だったのかどうかは、もはや知る由もない。