井の中のアイランド

エクスとプレス

喫茶店に行こう

駅前通りに素敵な喫茶店があるらしいと、母親から聞いた。しかももうすぐ創業60年を迎える歴史ある喫茶店とのこと。由利本荘市に長く住んでいるのに、僕は由利本荘市のことを本当に知らない。

昨日宿直をやって疲れていたので、午後から休んで行ってみることにした。「こいつ仕事休みすぎじゃね?」と思われるかもしれないが、今日は有休ではなく、先日、職場の行事で休日出勤した分の代休があったので、それを利用したのだ。

件の喫茶店に行く前に、美容院へ寄って頭をさっぱりさせていく。お洒落で歴史ある喫茶店に行くのだから、身だしなみは整えていかなければならないと思った。

強烈にさっぱりしたので、満を持してお目当ての喫茶店に行く。

今回お邪魔したのは「純喫茶サモワール」。落ち着いた店構え。安心感のある看板。扉を前にちょっと足が竦む。僕には似つかわしくないお店かもしれない。意を決して中に入ると、上品な店主さんが笑顔で迎え入れてくれた。僕みたいな奴でも入っていいお店みたいだ。

革製のソファーにチェック柄の床。ここには写っていないが、ゲームの筐体がテーブルになっている座席もある。昭和。たぶん昭和。僕が過ごしたことのない時代にタイムスリップした感覚。

テーブルの上にあるランプも優しい灯を届けてくれる。カウンター席には常連客と思われる方々が並び、楽しそうに話していた。それを邪魔しないよう、控えめな声量で店主さんを呼んでピザトーストとクリームソーダを注文。ここのお店のクリームソーダは『クリームソーダ純喫茶めぐり』という書籍でも取り上げられており、結構有名らしい。今回もそれを目当てでお邪魔した。

「ちょっと時間かかるけれど大丈夫かしら?」と店主さんがわざわざ一声かけてくれた。お一人で切り盛りしているようだし、他のお客さんもいる状況だから気を遣ってくれたのだろう。ぜんぜん大丈夫ですよと返す。こんなに落ち着く空間なら、いくらでも待てる。

ピザトースト(450円)

見た目も味も100点満点のピザトーストが出てきて、鉄仮面の異名を持つ僕の顔面もほどける。ピザではなく、あくまでピザトースト。パンの味もしっかり感じられるのが嬉しい。

クリームソーダ(500円)

本にも掲載されたクリームソーダ。明るい緑色ではなく、エメラルドグリーンのような濃い緑色だ。炭酸は強すぎず口の中で優しく弾ける感じ。甘さもすっきりしていて、クリームソーダなのにぐいぐい飲めてしまう。

お腹もいっぱいになり、たっぷりノスタルジアに浸ったので、お会計をして帰ることにした。合計は950円なので1,000円を出す。お釣りで50円を貰う準備をしていると、何故か100円玉を渡される。昨日のブログでちょうどお釣りのことを書いたから、頭の中がクエスチョンマークでいっぱいになったが、「わざわざ足を運んでくれたから、ほんのおまけ」とのこと。なんという…。

たくさんお辞儀をして、お店を後にする。駅前通りだっていうのに、人の数も車の数も少ない。もっと昔、それこそ昭和の時代は、今とは比べ物にならないくらい、たくさんの人で溢れていたのだろうか。また今度お邪魔したときに、店主さんに聞いてみよう。