井の中のアイランド

タメ口でいーよ!笑

満ち欠け

昨日は会議があり職場を出たのが19:30過ぎだった。

空気が透き通る香りというか、花の蜜に囲まれている香りというか、端的に言えば5月の夜の香りがして心地がよかった。それをじっくり全身に浴びていたいところだったけれど、最近、職場の近くでクマが頻繁に目撃されているので、うっかり襲われないうちに車に乗り込む。「今日は5月の夜の香りがするね」と言っても、たぶんクマには通じない。というか人にも通じないだろう。

車を運転していると、夜空に大きな月がふんわり浮かんでいることに気づいた。調べたら満月だったらしい。そりゃあ大きい訳だ。「月が綺麗ですね」。そう言える相手がいないことが悲しい。クマになら通じるかもしれない。そう言えば、本州で見られるクマの首元には三日月模様が浮かんでいる。クマにそんなこと言ったら勘違いされてしまう。

遅くまで職場にいたときには外食してから帰宅しがちな僕だが、人気のラーメン屋も美味しいとんかつ屋も華麗にスルー。一人暮らしをしている身なので、そう簡単に外食をしてはいけない。そもそも作り置きしていたおかずがあるので今回は外食の必要がない。アパートでご飯を食べながら、やっぱラーメン食べればよかったなあと思う僕なのであった。

網戸にすると涼しい風が部屋に入ってくる。相変わらず月は丸くて大きく、街をぼんやりと照らしていた。今度、月がクマの喉元の模様みたいになる頃にはもう6月だな、と思った。