井の中のアイランド

エクスとプレス

その頃はまだ猫を飼っていなかった

幽霊とかUFOとか、オカルトチックな話は結構好きだ。100%信じているわけではないが、60%くらいは信じている。

オカルト系の番組、とりわけ心霊系の番組は大の苦手で、昔、テレビを適当にザッピングしていたら、その日たまたま放送していた「ほんとにあった怖い話」に切り替わってしまい、幽霊のドアップが映ったときからトラウマになっている(余談だが、阿部寛が出ていたのを覚えていて、最近調べたらほん怖史上トップクラスの恐怖エピソードらしかった)。近頃はコンプライアンス的な影響もあるのか地上波で心霊番組はほとんど放送されなくなったが、僕にとっては追い風と言える。

幽霊の類を60%ほど信じている理由は、僕自身が過去にそれっぽい体験をしたことがあるからだ。「ぽい」程度の話なので、それこそほん怖のように血みどろの幽霊の顔が急にドーーーン!!!なんてことではないのだが、地味であっても実体験だからこそ鮮明に覚えている。

小学校低学年の頃の夏休み。その日の僕は休みにしては早く起床し、そのせいもあって昼前くらいに眠たくなってしまった。居間では母親が掃除機をかけており、邪魔になってはいけないと思い、座敷で仮眠をとることにした。夏とは言え少しひんやりした日だったので、タオルケットを1枚かけて寝た。5分くらい経ち、微睡んできた頃、急に指先がひんやりする感覚に襲われた。もう1枚何かかけた方がいいかと思った矢先、耳鳴りとともに子どもの笑い声のようなものが聞こえ、僕が寝ている横を何者かが凄い勢いで走っていく音が聞こえた。畳の振動も僕に伝わり、感覚的に小さい子どもが走っている感じだった。その日、家には僕と母親しかおらず、居間からは相変わらず掃除機の音が聞こえる。それなら、今の足音は一体…。急いで居間に戻ったが、母親にそのことは言わなかった。何となく、言っちゃいけない気がしたのだ。

たったこれだけ。たったこれだけのことなんだけど、今でも座敷はちょっと怖い。