井の中のアイランド

エクスとプレス

ドッペルゲンガー

ドッペルゲンガーとは、自分にそっくりな人間がこの世のどこかに存在するという、一種の迷信である。

ドッペルゲンガーに遭遇すると命を落とすという話までセットで付いてくる。ドッペルゲンガーは周囲の人間と会話はせず、本人に関係のある場所に突如として出現するらしい。こうした話から分かるように、都市伝説として語られることも多い。

勘違いしないでいただきたいのは、姿形がそっくりというだけでなく、本人と思想や考え方まで同じという点だ。高校時代の僕は坊主頭で、当時放送していたTBS系列のドラマ「SPEC」に出演していた加瀬亮さんにそっくりだった(加瀬亮さんも役作りで坊主にしていた)が、そういうのをドッペルゲンガーとは言わない。ドッペルゲンガーは、もう一人の自分のことを言う。

ここまで散々ドッペルゲンガーについて説明してきたが、僕は決してドッペルゲンガーの存在を信じている訳ではない。先ほども書いた通り都市伝説として楽しんでいる。ただ、もう一人の自分と出会えたら、新たな発見があって面白いんじゃないかと思っている。自分とそっくりな人と会うことはあるかもしれないが、考え方までまったく同じもう一人の自分と会うとしたら、ドッペルゲンガーしか有り得ない。

例えば、自分と全く同じ性格・価値観を持っている人間なんて恐らくいない。だから自分の考え方を外から見る機会もない。でもドッペルゲンガーが目の前に現れてくれたら、それを知る良い機会になる。そういう性格は直した方がいいとか、その考え方は世間一般的に理解され難い場合が多いから積極的に開示しないほうがいいとか、自分で自分を評価できる訳だ。

ドッペルゲンガーに会うと命を落とすと言うが、性格まで同じならば「死ぬとかそういうのは、とりあえずいいからさ」と、僕のドッペルゲンガーなら言ってくれそうな気がするのだ。