井の中のアイランド

エクスとプレス

生活音

僕の家は田舎にあるので、都会の喧騒とは無縁である。隣の家と10メートル以上離れているようなところだから、近所の生活音も聞こえたことがない。

静かなのはいいことだが、音が聞こえなさすぎるのも寂しいものだ。都会で暮らしている人にとっては贅沢な悩みかもしれない。お互いに無い物ねだりなのだろうか。

大学生の頃と前職の頃はアパートに暮らしていた。いずれもそれなりにしっかりした造りのアパートだったものの、隣人の生活音がまったく聞こえないなんてことはない。だけど、少しくらい生活音が聞こえた方が僕は安心する。周りにちゃんと人がいる感覚。あまりにもうるさいとストレスがたまるかもしれないが、幸い、隣人がデリカシーのない人だったことはない。

ただ、大学3年生のとき、隣の棟から某アレの声が聞こえたときはビビったね。傍点をつけていただきたいのだが、隣の部屋からではなく、隣の棟からである。あまりにも大きい声だったものだから、最初はキツネかなんかが山から降りてきて鳴いてるのかと思ったが、某アレだった。その時はイラッともムラッともしなかった。本当に、誇張抜きで大きすぎる声だったから、心配が勝ったのだ。近所の人は皆聞こえていたのではないか。

田舎には田舎ならではの音がある。今の時期は秋の虫の鳴き声が聞こえる。虫の鳴き声にも求愛の意味があるという。虫と人の声では、こうも耳心地が違うのかと実感している。